[読書メモ] 愛がない部屋 石田衣良
愛ってなんだろうか?
現実と虚像との間に何があるのか。
現実の恋愛は、小説ほどスタイリッシュでもないし、さらりとしていない。
もっとカッコ悪くて、ジメジメしたものだ。
友人の結婚式に行くと、確かに幸せそうだ。「彼女に問い詰められて、口をすべらせてしまった。ぼくはひとりの人をそんなに深く愛せるような人間じゃない。一生ひとりの女性に忠誠を誓えるような立派な男じゃない。ぼくは愛とかほんとうは苦手なんだ。愛なんていったいなんだろうと思うよ」(P28)
その幸せを羨ましくも思っているのかもしれない。
誰かと一生添い遂げるなんてことが、本当に可能なのだろうかとも思う。
自分の中に眠れる才能があわけではない。人間はもともと考えるようにはつくられていないのだ。移動して、食物を見つけ、安全なねぐらを探す。脳はそのためのに発達したのである。動かずに自分のことだけを考えている人間は、結局自分を憎むようになる。(P101)
才能があったのなら、もうとっくに気づいているはずだ。
人に認められる才能とは、それほどの煌きが必要だし、そうでなくては才能とは呼べない。
スーザンボイルのような演出された才能が、長続きするとは思えない。
毎年、タレントが流れ星のように消えていくのと同じ。
結局、自分の中身は空っぽだと気がつく。
自分探しなんてものは、そんなもんだ。
恋愛のスリルとは、自分のエゴと相手のエゴとの境界線だと思う。純子は目が冴えて眠れなかった。結婚とはなんだろうか。恋愛からときめきとスリルとセックスをしぼりとる。残ったぱさぱさのしぼりかすが結婚ではないのか。(P161)
相手に自分のエゴをどこまで受け入れさせられるか、また相手のエゴをどこまで受け入れるか。
その争いがスリルを生み出す。
しかし、結婚すると関係性が変わる。
恋愛という刹那的な関係から、継続を基本とする関係に変わる。
エゴの衝突は、継続を脅かす。
結果、エゴは影を潜め、スリルを奪いさらにセックスをも奪い取っていく。
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