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[書評] 世界の電波男 本田 透  

世界の電波男
本田 透
三才ブックス ( 2008-04-24 )
ISBN: 9784861991325
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

ニーチェは「神は死んだ」と言ったが、その後、愛が神となった。
しかし、その愛もまた、資本主義と結びつくことによって死んでしまった。
男女ともに自身を商品として扱うことによって、愛は死でしか愛は存在できなくなってしまった。
そもそも、愛の存在自体が朧げなので、実体がないのだから存在自体がない。
こういう存在の有無を考えると「シュレーディンガーの猫」を思い出すのはなぜだろう?




オタク化とは、人間を疎外する恋愛資本主義システムからのエクソダスなのである。(P12)

恋愛と資本主義の結びつきが強くなり過ぎたがために、そのカウンターとしての純愛ブームだったのではないか?
オタクたちは、現実のキモさ・グロさに辟易しているのかもしれない。

物語(妄想)の最大の機能(目的)とは、「願望を充足させること」というよりはむしろ「願望充足の予感」つまりは「希望」を与えることなのだ(P24)

現実に満たされない願いは、妄想という希望へ向かう。

実は人間は、幸せの予感が終わらないことを望んでいる。もちろん人はいずれ必ず死んですべての幸せが絶望に黒く塗りつぶされてしまうのだが、それを知っているからこそ「永遠」の「予感」を望むのだ。(P32)

欲望には限度がないのだから、満足するなんて事はどんな状況になってもないのではないか?
その欲望が動力となって、世界を動かしている!?

アリストテレスによれば、お話が「めでたしめでたし」で終わるよりも英雄が、悲劇的な死を迎えて演劇が終わったほうが、より大きな感情を動かしてより深いカタルシスを得られるという。「めでたしめでたし」は一瞬だが、「悲劇」は永遠なのだ。(P59)

確かにシェイクスピアの作品も喜劇よりは、悲劇の方が評価が高い。
現実でも願望が満たされることがないのだから、物語も悲劇で終わった方がより完成度が高いということになる。

超人イケメンを目指したけれど、やっぱり喪男は喪男だったよ……という悲劇こそ、本当に感情移入できる物語なのだ。(P88)

自分よりも悲惨な何か、自分と共通な何かを見つけ現実のつらさを慰めているのか。
ハリウッド映画でハッピーエンドが多いのは、彼らが『大きい子供』だからだろう。

人間の女の子に萌えるという「人間萌え」ルートの行く手には、常に「人間は神でも天使でもない」というリアリズムの持つ危険が待っている。「人間萌え」をリアルに展開していくと、はたしてどうなるのか? そう、バッドエンドになってしまうのだ。(P244)

現実に生きるものは必ず劣化してしまう。
しかし、幻想ならば劣化することなく保つことができる。

恋愛資本主義の世界では、女の子に萌えるヤツは、モテないんですよ。
青山みたいに「女は肉便器だ」という「正しい現実」を認識しているヤツが、モテるんですよ。(P326)

肉便器が正しい現実なのかどうかは分からないが、恋愛は多かれ少なかれ、自分のエゴを相手に受け入れさせるものだし、相手のエゴを受け入れるものだと思っている。
そして恋愛資本主義の行き着く先が、喪だ。

この世の男は、実はみな、喪男なのだ。「一生喪男」というヤツと、「歳を取って喪男になる」ヤツがいるだけなのである。(P260)

恐ろしい真実だが、事実だ。

イケメンはハーレムで楽しめるが、喪男は暇で退屈で不幸せだ。そんな面々が集まって「文明」や「科学」という名のピラミッドをせっせと建造してきたのだとしたら……。

おそらく、この考え方は正しい。文明や科学を向上させるのはモテなく私生活が暇な「喪」だろう。
現実には福山雅治で教授なんて人はいない。
現実に満たされないから、未来を想像できるのだ。




総合評価★★★★

世界が「喪」によって動いているという壮大なストーリー。
『萌え』ということの意味が、ずっと分からなかった。
しかし、この本で『萌え』の本質を理解した。
自己の幻想を投影したものを愛することを『萌え』ようだ。
火の鳥を読みたくなった!
最初は「風呂敷広げすぎなんじゃないの?」と思ったけれど、うまく最後にまとまっていました。


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